2013年2月25日月曜日

浮世絵シリーズ


今回の「モダニスト 上村一夫の世界」のDM(栞サイズ4種!)に使用しているモノクロ縦長のイラストレーション。実は『スポーツニッポン』で1974年1月から5年ものあいだ続けられた連載イラスト・エッセイ『浮世絵』シリーズのもの。

幼少時の記憶、街を歩く女性の様相、電話、待ち合わせ、花、酒の話など…。日常のなにげないワンシーンを切り取りとった中にも、さりげに上村美学が見え隠れする文章も味わい深いが、そこに添えらられた、さまざまな美しい「女」たちの絵が、また素敵。

新聞連載ということで、当時のファッションや風俗を感じさせる、モダンでアンニュイで時にユーモラスな女たちの姿は、上村漫画のファンの方にも、きっと新鮮に映るはずです。






「モダニスト 上村一夫の世界」展では、この『浮世絵』シリーズから6作品をチョイスして展示。文章も入った新聞連載の切り抜きと、絵の原画を並べて額装してお見せします。
印刷物と原画、それぞれの魅力を味わえる興味深い展示となりそうです。

また会場では、この新聞連載のコピーをファイリングして閲覧していただけるよう用意いたします。他にも、上村一夫が登場している当時の雑誌の記事など、上村一夫の世界がかいま見れる読み物をピックアップ。ぜひ、ゆっくりと時間を取っていらしてください。






2013年2月15日金曜日

シェルブールの雨傘






















予定外のアレがアレなもんでバタバタで…。すっかり間が空いてしまい恐縮です。

なかなかじっくり書けないので、本日は展示作品からちょっとご紹介。皆さまご存じの映画「シェルブールの雨傘」の日本オリジナルのポスターです(73年作品)。

一般的に映画ポスターは製作・配給会社のもとで匿名的に作られることが多く、現在ではこと洋画に関してはスチール写真を使用した様式的なものが大半だったりしますが、1960〜70年代には映画・美術・文学・演劇などのジャンルが密接に絡まり合うなか、和田誠、久里洋二、横尾忠則、栗津潔といった当時最先端のクリエイターがイラストやデザインを手掛けたユニークな映画ポスターが数多く作られました。この「シェルブールの雨傘」もそんな中で生まれたもの。ドヌーヴの“本家版”も素敵だけれど、こちらは映画を離れてなお美しく、抒情的な見事なまでの上村ワールド! 抱擁しくちづけを交わす男女の構図(「同棲時代」の今日子と次郎を彷彿させる)、ヴィヴィッドな色彩感覚、雨&傘のグラフィカルな描き方も素晴らしい。昨年、東京・京都で開催された「日本の映画ポスター芸術展」でも展示されていた貴重な逸品。ぜひ実物でうっとりしてください!