2013年3月30日土曜日

花見の季節























「モダニスト 上村一夫の世界」が始まって、初めての週末。おりしも京都は桜が満開を迎え、本日はおだやかな快晴。まさに最高の花見日和となりました。

普段は煩雑な日々に追われ、微妙な季節のうつろいなど気に留める余裕もない、という人も、この時期になると急に心がソワソワと浮き立ち、桜の開きぐあいを毎日神妙に確認してしまうのではないでしょうか。

日本人にとっての桜のシンボリックな意味性は、いまさらここで説明するまでもないけれど、酒飲みにとっては、桜を口実にいい大人同志が芝生にシートを広げて昼間っからおおっぴらに酒を飲み食いできる、そのささやかな非日常感こそ、なによりの花見の醍醐味だったりもします。






















さて、上村一夫の作品にも、印象的な花見シーンがいくつか登場します。
たとえば「菊坂ホテル」。ホテルの娘である主人公の八重子が上野の不忍池で竹久夢ニ親子と花見をするくだり。「京都の桜の方がきれいだよね」という息子の言葉に、かつて共に京都で暮らした彦乃を思い、心をかき乱される夢ニ。そして、翌年、同じ場所で谷崎潤一郎やお葉と花見をする八重子…。























また「狂人関係」では、花見に浮かれ騒ぐ人々をエレファントカシマシの「上野の山」よろしく、醒めた目で眺めやり、「人々が普段の生活に戻り、街がもとの落ち着きを取り戻す今の季節が、いちばんほっとする」と語りあう、酒を愛する男二人のエピソードが。他にも上村作品には、酒を愛した上村一夫らしく、酒呑み名シーンが多数。ぜひ太田和彦さんあたりに解説していただきたい…!



上村一夫と桜は最高の組み合わせ。かつて桜の季節、上村一夫が取材旅行で京都を訪れた際もやはりというか、取材はそこそこ、花見酒と相成ったそうです。

恵文社で上村作品をじっくり堪能した後は、ぜひ京の桜で花見と洒落込んでみてはいかがでしょう。



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